野球シーンを語る上で欠かせないのが、陣内家の大黒柱である陣内栄の存在です。栄おばあちゃんは、生前から了平の野球を誰よりも気にかけており、親戚一同に対しても「了平の試合をみんなで応援しなさい」と励まし続けていました。
栄が亡くなった後、陣内家の大人たちが取り乱す中で、テレビから聞こえてくる実況中継は「いま自分たちが何をすべきか」を思い出させるトリガーになります。「どんなに苦しくても諦めない」「一人で戦っているのではない」という栄の教えは、マウンドで孤独に投げる了平にも、巨大なAIに立ち向かう健二たちにも等しく宿っていました。
テレビから流れる試合経過の実況アナウンスは、悲しみに暮れる陣内家を再び一つに結束させ、前を向かせるための強力な精神的支柱として機能していたと言えます。