農林水産省が公表する新規就農者の定着状況調査を見ると、就農後数年以内に経営が軌道に乗らず撤退するケースは依然として一定割合に上る。主な要因として挙げられるのが、「農地の確保困難」「資金不足」「技術習得の遅れ」だ。農地法に基づく権利取得のハードルは高く、単身で乗り込んだ見知らぬ土地で肥沃な農地をいきなり借り受けることは容易ではない。
一方で、全国農業協同組合連合会(JA全農)が構築する共販システムは、個人就農者にとって強力なセーフティネットであると同時に、戦略的な割り切りを要求する。規格通りの作物を大量に出荷すれば全量を買い取ってくれる安心感はあるものの、手数料や資材コストを考慮すると、単身の小規模生産では薄利多売に陥りやすい。JAの流通網を賢く活用しつつ、いかに独自販路を組み合わせて利益率を高めるかが、生き残りの分水嶺となる。