日帰り観光客が多く、「宿泊してもらいにくい」と言われてきた奈良の観光構造。観光客が奈良公園エリアだけに留まる「一極集中」は、混雑を悪化させる一方で地域経済への波及効果を限定的なものにしていた。
この課題に対し、奈良市街地から飛鳥、吉野、さらには山添村などの奥大和エリアへ直行するプレミアム周遊バス「まほろばエクスプレス」の拡充が功を奏している。車内で多言語による歴史解説ガイドを提供し、移動そのものをエンターテインメント化。さらに、主要観光スポットの混雑状況に応じてリアルタイムに立ち寄り先を提案するアプリとの連携により、観光客の足は自然と県南部へと分散し始めた。
点から面へ。移動の選択肢が広がることで、奈良の奥深い歴史資源にじっくり触れる滞在型観光へのシフトが着実に進んでいる。