物語のクライマックスである無惨との死闘において、読者に最大の衝撃を与えたのが炭治郎の鬼化でした。
夜明けの陽光によって肉体を消滅させられそうになった鬼舞辻無惨は、死の直前、自身の血とすべての力を炭治郎へ注ぎ込みました。太陽の光を克服した禰豆子の血筋であり、日の呼吸の使い手である炭治郎を「最強の鬼の王」として仕立て上げ、自らの妄執を託そうとしたのです。
鬼化した炭治郎は無惨の細胞によって理性を奪われ、強大な破壊力と日光への完全耐性を手にして暴走。仲間たちに牙を剥くという絶望的な展開が訪れます。しかし、この絶対絶命の危機を救ったのは、人々が紡いできた「絆」でした。
栗花落カナヲが自らの目を犠牲にして放った「彼岸朱眼」により、胡蝶しのぶが遺した「鬼を人間に戻す薬」を炭治郎に投与。精神世界で引き留めようとする無惨の誘惑を振り払い、亡き家族や仲間たちの温かい無数の手に押し上げられる形で、炭治郎は自らの意志で人間への帰還を果たしました。
無惨消滅後、鬼殺隊は解散。炭治郎は右目の視力と左腕の自由を失いながらも、禰豆子、善逸、伊之助と共に故郷の雲取山で慎ましくも幸せな生活を送ります。カナヲと結ばれた炭治郎の血筋は現代へと受け継がれ、平和な時代を生きる子孫たちの姿を描いて物語は感動の完結を迎えました。