緊迫した戦時下において、突如として描かれた「おはぎ」のエピソードは、二人の関係性を語る上で外せない名場面だ。実弥の好物がおはぎであると知り、懐に忍ばせて仲良くなろうと目論む義勇のズレた真面目さ。そして、それを侮辱と受け取って怒りを露わにする実弥。このユーモラスなすれ違いは、過酷な物語における一筋の救いとしてファンの記憶に刻まれた。
吾峠呼世晴が公式ファンブックや幕間スケッチで描き足したディテールを紐解くと、戦いが終わった後の二人の距離感が徐々に変化していく様子が見て取れる。すべてを失い、それでも生き延びた者同士として交わす短い視線や、ぎこちない食事の風景。傷だらけの生存者たちが手に入れた静かな日常の描写は、二人の関係が決して憎悪だけで縛られていたわけではないことを雄弁に物語っている。