物語の柱石となるのは、人を喰らう鬼と、それを狩る人間たちの組織「鬼殺隊」による数百年にわたる死闘だ。作者の吾峠呼世晴は、集英社が発行する『週刊少年ジャンプ』での連載を通じ、単なる勧善懲悪にとどまらない多層的な人間ドラマを構築してみせた。
主人公である竈門炭治郎は、家族を鬼に惨殺され、生き残った妹の禰豆子を人間に戻すために刀を握る。彼の優しさは弱さではなく、極限状態においても失われない強靭な精神性のあらわれだ。同期である我妻善逸や嘴平伊之助、そして組織の要である最精鋭の剣士「柱」たち。それぞれが抱える凄惨な過去と意志の継承が、物語を単なる戦闘劇から重厚な群像劇へと引き上げている。