2016年12月2日・3日に2夜連続で放送された『鬼平犯科帳 THE FINAL』は、全150話の集大成として今もファンの間で語り草となっています。前編「二年客」、後編「一本眉」で構成されたこのフィナーレには、制作陣と吉右衛門さんの並々ならぬ覚悟が込められていました。
当時72歳を迎えていた吉右衛門さんは、体力的な限界と「最も良い状態のまま長谷川平蔵を終えたい」という美学から、自らシリーズの幕引きを決断しました。撮影現場となった京都・松竹撮影所では、28年間苦楽を共にしてきたスタッフ陣が結集。最後の立ち回りシーンでは、一切の妥協を排した迫力ある殺陣が演じられました。
クランクアップの瞬間、吉右衛門さんは「平蔵という人物を通じて、人間として生きる上で何が大切かを教わりました。このスタッフ、このキャストでなければ28年間続けることはできませんでした」と声を詰まらせながら感謝を述べたと伝えられています。後編「一本眉」のラスト、雪の中を静かに歩み去る平蔵の後ろ姿は、一人の不世出の役者が一つの時代を締めくくった瞬間として、テレビドラマ史に刻まれる名場面となりました。