結論から言えば、カメノテ自体にフグ毒のような固有の自然毒は存在しません。学術的には「蔓脚類(まんきゃくるい)」と呼ばれるエビやカニと同じ甲殻類の仲間であり、古くから日本各地の沿岸部やスペインなどの海外(現地名:ペルセベス)で高級食材として親しまれてきた歴史があります。
しかし、ネット上で「危険」と噂される背景には、以下の客観的な3つの脅威が存在します。
第一に、「生食による食中毒と寄生虫リスク」です。磯の岩場に固着しているカメノテの表面や体内には、海水由来の海洋性細菌(腸炎ビブリオなど)や微小な寄生生物が付着・混入している可能性があります。加熱せずに生で食べたり、不十分な洗浄のまま口にしたりすると、激しい腹痛、嘔吐、下痢を伴う食中毒を引き起こす危険性があります。
第二に、プランクトンを捕食する性質上、発生海域によっては「貝毒(麻痺性貝毒・下痢性貝毒)の濃縮リスク」を完全に否定できない点です。二枚貝ほど高頻度ではないものの、赤潮や有毒プランクトンが発生している海域のカメノテを採取して食すことは避けるのが鉄則です。
第三に、水質汚染の影響です。生活排水や工業廃水が流れ込む港湾部や内湾の岩場に生息する個体は、重金属や有害物質を取り込んでいる恐れがあります。食用として安全なのは、潮通しの良い清浄な外洋の岩場に生息するものに限られます。