料理のアクセントとして数振り使う程度であれば全く問題ありませんが、ナツメグを食べ過ぎた際に引き起こされる吐き気や全身症状は非常に激しく、抗コリン作用(アセチルコリンの働きを阻害する作用)や中枢神経刺激に酷似した状態が現れます。
初期症状として現れやすいのは、激しい悪心・嘔吐、口渇(口の渇き)、めまい、動悸、顔面の紅潮です。自律神経が大きく乱れることで血圧が急上昇または急降下し、強い胸の圧迫感や激しい不安感に襲われるケースが目立ちます。
さらに摂取量が多い場合、意識障害や精神症状へと進行します。ナツメグで幻覚症状が起きる理由は、種子に含まれる精油成分「ミリスチシン」や「エレミシン」が体内で代謝される過程にあります。これらの化合物は体内でアンフェタミン類やMDMA(合成麻薬)に類似した構造の代謝物へと変換されると考えられており、中枢神経系を直接刺激してセロトニンやドーパミンの情報伝達をかく乱します。
この結果、視界が歪む、実在しない声や影が見えるといった幻覚・妄想、見当識障害(時間や場所がわからなくなる状態)が生じ、最悪の場合は全身の痙攣や昏睡状態に陥ることも確認されています。