警察庁を広域重要指定事件として揺るがした「怪人21面相」と名乗る犯行グループ。挑戦状や脅迫状を次々と新聞社へ送りつけ、捜査網を嘲笑うかのような挙動を繰り返した。その実体は、単一の犯罪者ではなく、強固な役割分担を持った犯罪組織だった可能性が高い。
全国の警察組織が総力を挙げて追跡しながら、なぜ一人の逮捕者も出せずに終わったのか。広域捜査の壁、都道府県警間の縄張り意識、そしてリアルタイムでの情報共有の不備。警察側の構造的欠陥を冷徹に見透かしていたかのような犯行手口は、刑事ドラマのシナリオを遥かに凌ぐ残酷なリアリズムを帯びていた。