安楽死や自殺介助の議論を語る上で、歴史的な足跡を残した人物たちの存在は外せない。1990年代の米国で「ドクター・デス(死の医師)」と呼ばれ、自作の自死装置で多くの患者を助けたジャック・ケヴォーキアン医師の行動は、全米に激しい賛否両論を巻き起こした。彼の活動は違法と判定され服役に至ったものの、社会に対して終末期医療のあり方を痛烈に問いかける契機となった。
また、2018年に104歳でスイスへ渡り自死を選択したオーストラリアの植物学者デビッド・グドール博士の事例は記憶に新しい。末期症状を持たない高齢者が自らの意思で人生の幕引きを決断したこの事案は、世界中で「生きる権利と死ぬ権利」の範囲に関する国際的な議論を再燃させた。