ギャグの中で最も強い印象を残すフレーズの一つが、吉田裕が悲鳴まじりに叫ぶ「すんごい滑れへんの?」という返しだ。実はこのセリフ、あらかじめ用意されたセリフではなく、本番中に起きたハプニングから突発的に飛び出したものだった。
ある日の公演中、すっちーの叩く勢いが想定を超え、吉田が着ていた衣装の上から棒がツルッと滑って胸元を直撃した。あまりの痛さと驚きに、吉田の口から思わず漏れた叫びが「すんごい滑れへんの!」。その瞬間、客席は爆発的な爆笑に包まれた。
終演後、二人は舞台裏で顔を見合わせた。「今のフレーズ、使えるな」。ハプニングを逃さず笑いに昇華させる即興力こそ、吉本新喜劇の真骨頂。失敗すらも翌日からの爆笑演出へと組み込んでいく柔軟性が、ギャグの精度を究極まで高めていった。