表通りから一歩入った路地裏。看板すら出さないその鮨店で、我々は店主の独占取材に成功した。早朝の市場で目利きした極上ネタへのこだわりは凄まじい。「まぐろの脂と赤身のバランス、その日の湿度に応じたシャリの炊き加減、すべてが一期一会です」と職人は語る。仕込みの技術はまさに至高の域。小肌の塩振りと酢締めの秒単位での調整、穴子を解けるほど柔らかく煮上げる手捌きには、長年研鑽を重ねた職人ならではの美学が宿る。
特に常連客を魅了してやまないのが、品書きには載っていない「裏メニュー」の存在だ。職人が独自に開発した白身魚の昆布締めカラスミ和えや、軽く炙ったトロに特製赤酢ジュレを乗せた逸品は、口に入れた瞬間、芳醇な旨味が爆発する。長年の手仕事の集大成とも言えるこの皿の全貌を目の当たりにし、取材陣も言葉を失った。