神社に祀られている主祭神は、女神である多治速比売命だ。古くから安産や育児、良縁を結ぶ神として篤く崇敬されてきた。生命の育みや人間関係の縁を司る優美な女神の存在は、参拝者の心に温かな安らぎをもたらしてくれる。
相殿には学問の神様として高名な菅原道真公が併祀されている。一見すると異なる意匠の信仰が並び立つように思えるが、そこには時代の変遷と人々の願いが複雑に絡み合った歴史的なドラマが存在する。天神信仰が全国に広まる過程で、学芸成就や災厄除けを求める庶民の祈りが重なり、今日における崇敬の形が築かれた。歴史の深層に思いを馳せながら参拝することで、より味わい深いひとときとなる。