話は2010年代中盤にさかのぼる。アイドル文化の聖地・秋葉原を中心地に、彼らは突如として現れた。「マッチョ」と「29(肉)」を掛け合わせた安直とも取れるネーミングとは裏腹に、ステージ上で披露される鍛え抜かれた肉体美と生真面目なパフォーマンスは、瞬く間に若者たちの視線を釘付けにした。
彼らが放つ異彩は、従来の「細身で爽やか」を良しとする日本の男性アイドル像に対する宣戦布告でもあった。汗を飛び散らせ、大胸筋をピクピクと動かしながら真顔で歌う姿。そのシュールさと圧倒的な圧迫感が組み合わさったエンターテインメントは、当時のSNS文化と爆発的なシナジーを生み出していく。