長年「無料サービス」として親しまれてきた対面相談を有料化・厳格化した背景には、旅行業界を取り巻く劇的な構造変化とビジネスモデルの転換が存在します。
第1の理由は、「相談逃げ(ショールーミング現象)」の深刻化です。
インターネット予約サイト(OTA)の普及に伴い、店舗でスタッフから1時間以上かけておすすめの観光地、ホテル、効率的な移動ルートなどの情報を聞き出した後、「検討します」と持ち帰り、実際の予約はポイント還元率の高いネットサイトで自分で行う利用者が急増しました。店舗側からすれば、多大な人件費と時間を費やしたコンサルティングが無報酬に終わる事態が頻発していたのです。
第2の理由は、専門知識と提案力に対する「コンサルティング価値の正当な評価」です。
海外の複雑な乗り継ぎ、ビザの手配要件、現地での特別な手配など、プロの旅行業務取扱管理者が持つ知見は高度な専門技術です。欧米の旅行代理店では相談業務(トラベルフィー)を有料とするのが標準的であり、JTBも「専門知識を安売りせず、質の高い提案を提供するための対価」として料金体系を再定義しました。
第3の理由は、窓口業務の効率化と混雑の緩和です。
料金基準を明確に設けることで、冷やかし目的の来店を減らし、真剣に旅行を検討している顧客に対して十分な対応時間を確保できるようになりました。結果として、顧客一人ひとりに対する接客品質の向上につながっています。