清志郎が示したアプローチは、後続のアーティストやカルチャー全体に多大な影響を与えた。彼のライブパフォーマンスや音楽的アティチュードを集大成した映画『忌野清志郎 ナニワ・サリバン・ショー』では、彼が愛した音楽の自由さと、権力に対するしなやかな抗いが見事に描写されている。ステージの上でポップかつユーモラスに社会を射抜く姿は、日本における風刺音楽の金字塔と言える。
日本においては欧米ほど風刺音楽がメインストリームに定着しにくいとされるが、言葉遊びや替え歌という形での抵抗運動は古くから民衆の間に存在した。忌野清志郎が鳴らしたノイズは、国家のシンボルを過度に神聖視する空気に風穴を開け、ポップカルチャーにおける表現の領域を押し広げる役割を果たしたのである。