なぜ言葉や儀式によって、失われた物が目の前に現れるのか。その秘密は認知心理学の知見で鮮明に説明がつく。人間は焦りや不安を感じると「スコトーマ(心理的盲点)」と呼ばれる現象を起こし、視界に入っているはずの対象を脳が意図的に排除してしまう。
「ハサミさん」や「にんにく」といった特定の言葉を口に出すおまじないを行うと、脳の言語野が刺激され、パニック状態にあった前頭葉が沈静化する。感情の暴走が収まることでスコトーマが解除され、これまで見落としていたテーブルの影やソファの隙間に自然と視線が向くようになるのだ。