湿潤療法(モイストヒーリング)に対する一般的な認知が高まった一方で、重大な誤解も定着してしまっています。代表的な3つの誤解を正していきます。
第一の誤解は、「キズパワーパッドはどんな傷でも早く綺麗に治す万能薬である」という思い込みです。ハイドロコロイドは医薬品成分を含んだ貼り薬ではなく、傷口から出る自己治癒成分(上皮成長因子などを含む浸出液)を保持するための被覆材に過ぎません。すでに乾燥してしまった傷や、体液が出ない未破裂の水ぶくれに対しては、治癒促進作用を発揮できない構造になっています。
第二の誤解は、「貼る前にマキロンなどの消毒薬でしっかり殺菌すべき」という習慣です。かつての常識であった消毒薬は、侵入した細菌だけでなく、傷を修復しようと集まってきた正常な肉芽細胞や表皮細胞まで破壊してしまいます。水ぶくれが破れた場合に必要なのは「消毒」ではなく、「水道水の流水による徹底的な物理洗浄」です。
第三の誤解は、「痛みが引かない時は貼り続ければそのうち治る」という過信です。密閉後にズキズキとした拍動性の痛みが増している場合、それは治癒過程ではなく、細菌が増殖して内圧が高まっている警告シグナルです。違和感を覚えたら我慢せず、直ちに使用を中止しなければなりません。