監督を務めた柿本ケンサクは、CMやMVの分野で培った卓越した色彩感覚と美意識をスクリーンに凝縮させた。頭の中に潜む虫のイメージや、視線恐怖症の少女が見る世界を、時に幻想的で時にスタイリッシュな映像表現へと昇華させている。実写化が極めて困難とされた三秋縋の世界観を見事に具現化した手腕は高く評価された。
KADOKAWAが誇る原作小説の持つ文学的な抒情性と、柿本監督の先端的な映像センスが融合したことで、本作は独創的な恋愛映画として昇華した。ノイズ混じりの画面や光のグラデーションが、登場人物たちの不安定な心理状態を鮮烈に浮き彫りにする。