マグロ初競りを世界的なエンターテインメントへと押し上げた立役者といえば、寿司チェーン「すしざんまい」を展開する株式会社喜代村の木村清社長を置いてほかにいない。両腕を大きく広げたポーズと名物の笑顔は、新春の風物詩として定着した。
木村社長が初競りで攻勢を強めた背景には、海外資本への危機感があった。2000年代後半から2010年代前半にかけ、香港の投資家や海外レストランチェーンが日本の最高級マグロを高値で競り落とす事態が相次いだ。「日本最高峰のマグロを海外に行かせず、日本の客に安く食べてもらいたい」。その信念のもと、木村社長は相場を無視した破格の入札を断行。築地・豊洲のセリ場で繰り広げられた意地とプライドの応酬は、メディアを通じて爆発的なPR効果を生み出した。