明和の大津波をめぐる最大の謎が、古文書『大波之時各村之形行書』に記された「宮良村で波の高さが28丈2尺(約85.4メートル)に達した」という記述です。この85.4メートルという数値は、長年「日本観測史上最大の津波の高さ」として紹介されてきました。
しかし、近年の最新研究による地形データ解析や流体シミュレーションでは、海抜85m地点まで津波の痕跡が広範に残っているわけではないことが判明しています。現在では、局所的な谷地形に津波が集中して駆け上がった「遡上高」の過大記録、あるいは琉球王朝時代の測量基準の違いによるものという見解が有力です。
とはいえ、修正された科学的な数値であっても、石垣島東岸における実際の津波高は25〜30メートルに達していたと推定されています。東日本大震災の津波に匹敵する巨大な波がサンゴ礁の海を駆け巡った事実は揺るぎません。