彼女の命を奪った死因は「原発不明がん」だった。がんが最初に発生した臓器(原発巣)が特定されないまま進行するこの難病は、全がん患者の中でもわずか数パーセントとされる非常に珍しい症例だ。発見された時点ですでに体内の複数箇所に転移していることが多く、診断や治療の選択が極めて難しいことでも知られる。
闘病生活は1年近くに及んだが、本人の意向もあり、病の詳細は公にされることなく穏やかな療養が続けられた。最期は自宅で、夫である柄本明をはじめとする家族に見守られながら息を引き取ったという。病床にあっても弱音を吐かず、最後まで表現者としての気品とユーモアを失わなかった姿勢は、最側近で支え続けた家族にとって大きな救いであり、誇りでもあった。