「父の顔も、声も知りません。写真の中の若い父しか知らない私たちが、どこまで戦争の惨状をリアルに伝えられるのか」
そう語るのは、今年初めて追悼式に参列した70代の遺族男性だ。戦没者遺族会の現場では、直接の戦争体験者がほとんどいなくなったことによる「語り継ぎの限界」が深刻な課題として浮上している。体験者の言葉には、一言一言に悲痛な重みがあった。しかし、伝聞で育った世代が語る言葉は、どうしても抽象的になりがちだという葛藤を抱えている。
全国各地の遺族会組織でも、会員の高齢化と減少に伴う解散や活動縮小が相次いでいる。戦後80年という節目を過ぎた今、地域の慰霊祭や戦争遺跡の維持管理さえも困難になるケースが増えており、記憶の風化は目に見える形で加速している。