本作の大きな見どころとなっているのが、狩山陸と妻・玲子の葛藤と深い愛を描いた人間模様だ。病に侵され限られた時間の中で看護師長として生きる玲子を演じるのは、名女優の天海祐希である。重厚なテレビドラマの舞台において、二人が魅せる緊張感と信頼のドラマは息をのむ美しさを見せる。
逃亡者となった夫と、残された妻。互いを思いやるがゆえの葛藤とすれ違いは、物語に圧倒的な情緒的奥行きをもたらしている。死を覚悟した玲子が放つ力強い言葉と、自らの誇りを取り戻すために奔走する狩山の瞳。二人が交わした約束の橋は、物理的な構造物にとどまらず、二人の魂を繋ぐ架け橋へと変貌を遂げていく。