過去に社会を震撼させた介護施設での事件を振り返ると、公的な特別養護老人ホーム(特養)から民間の有料老人ホームまで、施設の形態を問わず悲劇が発生していることが分かります。
代表的な事例として記憶に新しいのが、神奈川県川崎市の有料老人ホームで発生した入居者転落死事件です。元職員の男が入居者3名を相次いでベランダから投げ落としたこの事件では、密室での単独夜勤という盲点が悪用され、発覚まで長期間を要しました。また、特別養護老人ホームでの睡眠導入剤混入事件や、食事介助中の過失を装った窒息死事件など、老人ホームの事件一覧を検証すると、「外部から見えない時間帯」「防犯設備の不備」「管理者による兆候の見落とし」という共通項が浮かび上がります。
有料老人ホームの安全性を担保するためには、豪華な外観や設備だけでなく、現場の運営ガバナンスが機能しているかを冷徹に見極める視点が欠かせません。