動物病院が1年で最も混雑する時期は、例年3月下旬から6月上旬にかけてです。この時期に来院数が跳ね上がる理由は、主に4つの重要な医療イベントが完全に重なる点にあります。
第一の理由は、狂犬病予防法で定められた狂犬病予防注射の接種時期が毎年4月から6月に指定されていることです。各自治体から届く案内ハガキを手に、多くの犬の飼い主が一斉に来院します。集合注射ではなく、普段のかかりつけ医で健康状態を確認しながら個別接種を受けさせたいという飼い主が増加していることも混雑に拍車をかけています。
第二の理由は、蚊の活動開始に合わせたフィラリア予防薬の処方です。フィラリア予防薬を安全に投薬するためには、前年度の薬の飲み忘れ等で体内に幼虫や成虫が潜んでいないかを確かめる「事前血液検査」が必須となります。そのため、単にお薬を受け取るだけでなく、すべての犬に対して個別の採血と検査の手順が発生します。
さらに、気温の上昇に伴い活発化するノミ・マダニ予防時期の本格化に加え、フィラリア検査の採血と同時に受診できる春の健康診断キャンペーンを多くの動物病院が展開しています。「どうせ血を採るなら、一緒に内臓の数値も調べて健康状態をチェックしよう」という飼い主の意識が高まった結果、春の動物病院は通常の2倍から3倍もの来院数に膨れ上がります。