マグネシウムを取り扱う工場や実験現場で最も警戒すべき事態が、火災発生時の注水です。消防法においてマグネシウムは第2類危険物(可燃性固体)に指定されており、同時に水との接触を断たねばならない「禁水性物質」として扱われます。
超高温で燃焼しているマグネシウムに水をかけると、二酸化炭素の場合と同様に、水分子(H₂O)からも酸素を激しく強奪します。
$$\text{Mg} + \text{2H}_2\text{O} \rightarrow \text{Mg(OH)}_2 + \text{H}_2$$
$$\text{Mg} + \text{H}_2\text{O} \rightarrow \text{MgO} + \text{H}_2$$
この反応によって引火性の高い水素ガス(H₂)が大量に発生します。発生した水素ガスが周囲の超高熱によって即座に引火し、水が急激に気化する水蒸気爆発と相まって破滅的な爆発火災を誘発します。
したがって、マグネシウムをはじめとする金属火災(D火災)に対して、水消火器や一般的な二酸化炭素消火器、泡消火器の使用は厳禁です。万が一火災が発生した場合は、金属火災専用の粉末消火剤や乾燥砂(乾いた砂)、膨張ひる石を大量に被せ、外気を完全に遮断して窒息消火する以外に鎮火させる手段はありません。