いま振り返れば、『ひよっこ』のキャスティングは恐ろしいほどの先見の明に満ちていた。ヒロインの有村架純は、素朴で愛らしい「みね子」を泥臭くも圧倒的なリアリティで演じ切り、国民的俳優としての地位を確固たるものにした。しかし、称賛されるべきは彼女ひとりにとどまらない。
みね子の夫となるヒデ役を演じた磯村勇斗、幼馴染の時子役を務めた佐久間由衣、米屋の娘・さおり役で強烈な印象を残した伊藤沙莉、そして島谷役の竹内涼真や太郎役の山田裕貴まで、現在のエンターテインメント界を牽引する主役級の俳優陣が顔を揃えていた。当時は若手実力派だった彼らが互いに響き合い、瑞々しい演技をぶつけ合った熱量こそが、作品全体に生命力を吹き込んでいたのだ。