ラッセン現象を語る上で避けて通れないのが、日本独自の強力な流通メカニズムだ。1990年代、幕張メッセや各地の大型イベントホールを借り切り、大々的な展示会が連日のように開催された。
この空前のプロモーションを仕掛けたのがアールビバン株式会社である。同社は美術品の販売に展示即売会スタイルを持ち込み、絵画に縁のなかった若年層にクレジットローンを組み合わせた手法で版画を普及させた。この「アールビバン方式」はアートの民主化に貢献した反面、高額ローンに対する批判を浴びる要因ともなった。
熱狂から数十年が経過した現在、展示会で購入された作品たちがセカンダリー市場へ一気に流出している。当時数百万円で購入された作品の査定額を見て驚く所有者も多いが、流通量の多さこそが現在の市場相場を形作っている現実を受け止める必要がある。