「細かく刻んだうな重が出汁とセットになっただけでは?」と思われがちですが、ひつまぶしとうな重の違いは調理工程の根底から異なります。
まず注目すべきは、うなぎの蒲焼における関西風と関東風の調理技法です。関東のうな重は「背開きにして素焼き後、一度蒸してからタレをつけて焼く」ため、口の中でとろけるような柔らかさが特徴です。一方、名古屋のひつまぶしは伝統的に関西風の「腹開き・蒸さない地焼き(じやき)」が主流となっています。
強火の備長炭で一気に焼き上げる地焼きは、皮目がパリッと香ばしく、身には適度な弾力と脂の旨味が閉じ込められます。このクリスピーな食感があるからこそ、細かく刻んでも存在感を失わず、3杯目の出汁をかけた際にも皮がふやけず、香ばしさを保ち続けることができるのです。
また、うな重が大きな蒲焼をそのままご飯に乗せてタレの濃厚さを楽しむのに対し、ひつまぶしはご飯と均一に混ざり合うよう短冊状に細かく刻まれています。最後の一粒まで計算された、構造の異なる料理なのです。