SNSや音楽レビューサイトに投稿された膨大なコメントを精査すると、リスナーが本作に救われたと感じる瞬間には明確な共通点が存在します。
「大切な家族を亡くした直後、どんな励ましも鬱陶しく感じていたが、この曲だけは素直に泣けた」「仕事を辞めたくなった夜、綺麗事じゃないこの歌を聴いて『とりあえず明日も生きよう』と思えた」といった実体験に基づく声が目立ちます。一方、「精神的に極度に落ち込んでいる時にはエネルギーを吸い取られるように感じるため、聴くタイミングを選ぶ」という率直な意見も見られます。
【プロの結論】心理学・グリーフケアの視点から見出すべき教訓
心理学および喪失の悲嘆を癒す「グリーフケア」の観点から本作を分析すると、平井堅が実践したのは「感情の完全な受容(アクセプタンス)」です。身近な人が自死を選んだ際、遺された者は激しいサバイバーズ・ギルト(生き残ったことへの罪悪感)に苛まれます。その際、「早く立ち直らなければならない」という社会的圧力はかえって当事者を追い詰めます。
本作のように、悔しさ、哀しみ、割り切れなさをそのまま吐露することは、心の自己治癒プロセスにおいて不可欠なステップです。『ノンフィクション』は、現代人が無意識に強いられがちな「ポジティブでいなければならない」という呪縛を解き放つ、極めて健全なカタルシスを提供してくれます。