この曲の誕生は18世紀前半にさかのぼります。大作曲家ヨハン・セバスティアン・バッハが書いた「管弦楽組曲第3番ニ長調 BWV1068」の第2楽章「エール(アリア)」がその原曲です。当時はきらびやかな宮廷音楽の一部として、弦楽合奏とチェンバロによって演奏されていました。
劇的な変化が訪れたのは19世紀後半。ドイツの天才バイオリニスト、アウグスト・ウィルヘルミがこの曲をバイオリンとピアノのために編曲しました。彼は主旋律をニ長調からハ長調へと移調し、バイオリンの4本の弦のうち、最も低く、最も豊かな響きを持つ「G線」だけで演奏できるように仕立て直したのです。これが、私たちが知る名曲の誕生の瞬間でした。