かつてエンターテインメント業界において、知的障害や発達障害は極端な形で消費される傾向が強かった。1980年代の名作映画『レインマン』はサヴァン症候群の突出した才能に光を当て、多くの人々に衝撃を与えた。また、映画『アイ・アム・サム』のような心温まるヒューマンドラマは、愛と絆の美しさを前面に出すことで観客の涙を誘った。しかし、こうした物語は時に「純粋無垢な天使」あるいは「隠された天才」というステレオタイプを強化し、現実の複雑な日常から目を背けさせる副作用も生んでいた。
近年、このメディア空間に地殻変動が起きている。NHK Eテレが長年にわたり当事者の生の声を届ける社会派ドキュメンタリーを発信し続ける一方で、Netflixなどのグローバル配信プラットフォームでは、過剰な美化を排したリアルな日常や葛藤を描く作品が支持を集めるようになった。綺麗事だけではない当事者や家族の泥臭い現実、時には苛立ちや不器用さを含んだ映像作品が共有されることで、視聴者はフィクションの幻想を超えた「一人の人間」としての姿に触れ始めている。