過酷を極めた世界ツアーの舞台裏では、旧知の事務所同士による異例の協力関係と、アーティスト個人の葛藤が存在した。BABYMETALが所属するアミューズと、鞘師の出身母体であるアップフロントプロモーション。本来であればライバル関係とも言える大手芸能プロダクション同士が、表現者の未来のために手を取り合ったことは、業界内でも大きな波紋を呼んだ。
だが、アベンジャーズとしての活動は永続的なものではなかった。ワールドツアーを成功裏に終えた後、鞘師は静かにその役割を全うし、サポートメンバーとしての活動に区切りをつけた。脱退の背景にあったのは、他者のサポートではなく「自分自身の名前で表現を届けたい」という強い意志だ。数万人の歓声を浴びながらも、彼女の視線はすでに自らの足で立つ次なるステージを見据えていた。巨大なムーブメントの一部で終わるつもりは、ハナからなかったのだ。