清水文太のスタイリングワークを語る上で欠かせないのが、「性別の境界線を消し去る」という視点だ。男性服/女性服というファッション業界の伝統的なカテゴリー分けに対し、彼は極めて直感的に、そして批評的に挑んできた。
「男らしさ」「女らしさ」からの脱却
彼が手がけるスタイリングには、従来の男性像や女性像への適合は見られない。メンズモデルにフリルやドレスを纏わせ、ウィメンズモデルに無骨なワークウェアを合わせる。しかし、そこには奇をてらった嫌味がない。衣服が本来持っている「布とシルエットの美しさ」を抽出し、着用する人間の身体と対話させているからだ。
身体の不完全さを祝福する視点
完璧なスタイルやプロポーションを追求する商業ファッションへのアンチテーゼとして、清水は「個々の身体が持つ歪みや癖」を肯定する。衣服によって体を隠すのではなく、その人が持つ独特の空気感やストーリーを引き出す手法は、多くのZ世代の若者から共感を集めている。