この象徴的なモチーフの源流を辿ると、地中海沿岸に息づく壮大な神話を避けては通れない。古代ギリシャ神話に登場する、見つめつづけた者を一瞬で石に変える怪物メドゥーサ。古来より地中海世界では、視線そのものが強力な魔力を持つという視線恐怖の観念が存在していた。民俗学・魔除け信仰の知見によれば、悪しき視線には「より強い視線」をぶつけて相殺するという逆説的な魔術的思考が根底にある。
トルコの地中海沿岸部やアナトリア地方に残る古代遺跡には、現代のガラスのお守りと酷似した目玉のレリーフや装飾が今なお数多く眠っている。メドゥーサの首を掲げて魔を払ったという伝説の残響が、時を超えて青いガラスの眼差しへと姿を変え、人々の安心を支え続けているのだ。