珍しい苗字の分布を地域ごとに分析すると、特定の都道府県に極端に集中している事例が確認できます。都道府県別珍しい苗字は、その土地の地形的孤立性や、かつて存在した藩の統治政策と密接に結びついています。
例えば沖縄県では、「喜友名(きゆな・きゆんな)」「親富祖(おやふそ)」「瑞慶覧(ずけらん)」「東江(あがりえ)」など、琉球王国時代からの地名や按司(あじ)の領地に由来する苗字が圧倒的多数を占めます。本土とは異なる音韻体系を持つため、初見での判読は困難ですが、沖縄県内では広く親しまれている姓です。
東北地方の岩手県・青森県には、「躑躅森(つつじもり)」「九十九(つくも)」「大工原(だいくはら)」のほか、「一戸(いちのへ)」から「九戸(くのへ)」に至る数字付きの地名由来姓が集中しています。これは中世の牧場(牧)の区画管理番号に由来する歴史的背景を持ちます。
北陸地方(富山県・石川県)では、職業や交易品に由来する非常にユニークな一文字の珍しい苗字が見られます。「釣(つり)」「酢(す)」「飴(あめ)」「道具(どうぐ)」「塩(しお)」など、北前船交易や地場産業で栄えた商人たちが名乗った苗字が今も残っています。
さらに全国的に見られる一文字の激レア姓として、「魁(さきがけ)」「鼎(かなえ)」「鬮(くじ)」「鳳(おおとり)」「鏡(かがみ)」などがあり、これらは武勇や神事、古代の祭祀道具にルーツを持つ威厳ある苗字として知られています。