「有酸素運動をすると筋肉が溶ける」という極端な言説がネット上でまことしやかに囁かれていますが、これは明確な誤解です。筋肉が分解されるのは、走ること自体が原因ではなく「走る強度・時間・タイミング」を誤っているからにほかなりません。
筋量を維持しながら脂肪だけを効率的に燃やすための絶対防衛ラインは、心拍数のコントロールにあります。目安となるのは最大心拍数(計算式:220 - 年齢)の60%〜70%に該当する「ゾーン2(中強度)」の負荷です。スマートウォッチなどの心拍計を活用し、息が弾みつつも「隣の人と途切れ途切れに会話ができるペース」を維持することが極めて重要です。
心拍数が80%を超えるような無酸素域に達するダッシュを繰り返すと、体内では急速に筋グリコーゲンが枯渇し、足りないエネルギーを補うために筋肉の構成アミノ酸(特にロイシンなどのBCAA)が糖新生によって分解され始めます。さらに、運動時間が45分を超えると血中のコルチゾール濃度が急上昇し、カタボリック反応が一気に加速します。
筋肉量を減らさないための具体策は至って明快です。筋トレ直後のランニングは「傾斜をつけた早歩き(インクラインウォーキング)」または「時速7〜8km程度の軽快なジョギング」で20〜30分以内に切り上げること。これ以上の時間を走っても、筋分解のリスクが脂肪燃焼のメリットを上回ってしまいます。