冷戦の終結とともに見えたはずの希望は、いまや完全に打ち砕かれた。米中露をはじめとする大国間の対立激化により、長年築き上げられてきた核軍縮の条約枠組みは次々と失効・停滞の憂き目に遭っている。核弾頭の近代化と戦術核兵器の配備姿勢は、核戦争のハードルをかつてないほど引き下げた。
さらに事態を複雑化させているのが、AI技術の爆発的な進化だ。意思決定の高速化を狙う各国の安全保障戦略は、兵器システムの自動化を急速に推し進めている。アルゴリズムの誤作動やデータ操作によって、人間の介入が追いつかない速度で戦争が勃発・拡大するシミュレーションは、現実の脅威として現実味を帯びている。
こうした複合的危機をどう報道し、社会に正しく提示するか。客観的なデータに基づき、感情的なパニックを排除しながらリスクの実相を伝える科学ジャーナリズムの役割は、歴史上のどの時代よりも重要性を増している。