三浦祐太朗の音楽人生は、決して平坦なものではなかった。2008年、バンド「Peaky Salt」のヴォーカルとして本名を隠してメジャーデビューを果たしたものの、当初は親の威光を借りずに実力で勝負したいという強いこだわりがあった。彼の父は俳優の三浦友和、母は昭和の歌謡曲シーンを席巻し伝説のまま引退した山口百恵である。二人が共演した「赤いシリーズ」などの大ヒットドラマをはじめ、日本芸能界史上に燦然と輝く名声は、若き日の彼にとって重圧以外の何物でもなかったはずだ。
ソロ活動へ移行後、所属事務所であるドリームゼロワンと手を携え、自らの声とギター一本で泥臭いライブ活動を重ねた。転機となったのは、ユニバーサルミュージックからリリースした母・山口百恵の名曲カバーアルバム『I'm HOME』のヒットだ。偉大な母の楽曲を敬意と独自の感性で歌い上げたこの作品は、かつての歌謡曲ファンのみならず、上質なJ-POPを求める新しい世代の心をも揺さぶった。
親の威光を否定するのではなく、受け入れた上で自らの表現へと昇華させた瞬間、彼は「偉大な二世」という呪縛から解き放たれた。音楽業界からの評価も一変し、声量豊かな温かみのあるボーカルと、誠実なソングライティングが高く評価されるようになったのだ。