あの日の会見映像を覚えている人は多いだろう。株式会社フーズ・フォーラスの勘坂康弘元社長は、カメラのフラッシュを浴びながら「日本の焼肉店で生用として肉を出している店なんてほとんどない」「厚生労働省の基準自体が厳しすぎる」と声を荒らげ、逆切れとも取れる態度で反論を展開した。
だが、死亡者が確認された直後の会見では一転、床に頭を擦り付けんばかりの土下座を見せた。この極端な態度の変化は、当時のワイドショーや過熱する報道陣にとって格好の標的となった。感情的なバッシングが加速し、彼の人間性そのものが糾弾される事態となったのは記憶に新しい。
しかし、感情論を排して彼の会見発言を冷静に紐解くと、当時の食肉業界における不都合な真実を突いていた側面もある。全国の多くの店舗が「加熱用として仕入れた肉を表面消毒やトリミングなしで生用として提供していた」という慣習が存在していたのだ。勘坂元社長の発言は、業界全体に蔓延していた違法性のグレーゾーンを暴露するものでもあった。