居酒屋の定番メニューである枝豆やから揚げも良いが、深夜に無性に食べたくなるのは「自分のためだけに作られたひと皿」だ。深夜営業を行う隠れた名店では、冷蔵庫のありあわせで作る炒め物や、素朴なナポリタン、熱々の豚汁定食が客たちの心を掴んでいる。
「仕事で大失敗した夜には、不思議と甘い玉子焼きが食べたくなる」。そう語る常連客のために、ある店のマスターはメニュー表にない玉子焼きを砂糖多めで焼き上げてみせる。こうしたマニュアル化できない臨機応変な対応こそが、身体に染み渡る夜食の味覚覚醒を生み出しているのだ。