古くから歌舞伎界と密接な結びつきを持つ代表的な教育機関といえば、慶應義塾幼稚舎の名が真っ先に挙がる。十三代目市川團十郎自身も慶應の学び舎で育ち、独立自尊の精神と多様な人間関係を育んできた経緯がある。
幼稚舎をはじめとする名門私立校では、試験による知識の詰め込みではなく、個人の観察力や表現力、他者への協調性を重視する独自の教育が行われている。歌舞伎という日本の伝統芸能の第一線で生きる子供たちにとって、こうした環境は感性を磨き、幅広い視野を獲得するための格好の場となっているのだ。学友たちとの他愛もない会話や遊びのひとときが、舞台上の重圧から解放される貴重な安らぎの時間となっていることは間違いない。