映像表現の観点からも、本作は極めて大胆なアプローチを採用している。長まわしを多用したカット割りは、キャストの演技力を極限まで引き出す一方で、誤魔化しのきかないリスクを孕む。しかし、そのリスクこそが映画に類稀なライブ感をもたらした。
クローズアップで捉えられる肌の質感、かすかに震える手元、静寂の中に響く衣擦れの音。映画館の音響システムをフルに活用した音響設計と相まって、観客はあたかも二人が存在する同じ部屋の隅で観察しているかのような錯覚に陥る。五感を刺激するこの演出は、デジタル技術が発達した時代だからこそ映えるアナログな人間味の勝利と言える。