三上が直面した事態の裏には、巧妙に仕組まれた罠が存在していました。3年前の射殺事件は偶発的な事故ではなく、石岡が平岡と裏で通じ、三上を失脚させて玲子を奪うために仕組んだ謀略だったのです。
物語のクライマックス、全ての真相を知った三上は、石岡および密輸組織との最終対決に挑みます。激闘の末、悪事を暴かれた石岡は自滅的な最期を遂げ、三上と玲子は3年越しの再会を果たします。しかし、映画は安易な復縁という道を選びません。
玲子はかつて愛した三上の胸へ飛び込もうとしますが、三上は静かに首を振ります。石岡が命を落とし、自身の手も血に染まった今、失われた歳月と犯した罪の重さを背負ったまま玲子と結ばれることはできないと悟った三上は、涙を流す玲子を残し、再び冷たい風が吹きすさぶ波止場を一人去っていくのでした。
この名シーンを彩ったのが、昭和30年代の横浜のロケ地です。山下公園、赤レンガ倉庫周辺、本牧の埠頭、伊勢佐木町の裏通りなど、当時の横浜が持っていた異国情緒と湿り気を帯びた空気感がフィルムに焼き付けられています。撮影当時、浅丘ルリ子は連日の過密スケジュールの中、石原裕次郎との阿吽の呼吸で現場の緊迫感を作り上げたと後年のインタビューで回想しています。