劇中での強烈な存在感の一方で、制作陣がどのようにしてこのキャラクターを成立させたのかという点も興味深い。TBSテレビの枠で放送されていた本作は、老若男女が安心して楽しめる水戸黄門の定番フォーマットを守りつつも、時代に応じた新しい風を求めていた。そこでプロダクションのC.A.Lと東映株式会社がタッグを組み、従来の型にはまらない野生的なキャラクターを構想したのだ。
歴代のキャストや配役の変遷を振り返ると、飛猿という役柄には単なるアクション担当以上の重責が課せられていたことがわかる。かげろうお銀との絶妙なコンビネーションや、旅の一行を守る防波堤としての役割。キャスト個々の人間性が役に滲み出ることで、ただの記号的忍者ではない、血の通った一人の男としてのドラマが成立していた。