本作の歩みを振り返る上で欠かせないのが、出版史における異例の経緯だ。もともと朝日ソノラマの『ほんとにあった怖い話』などで執筆していたたつき氏は、怪奇・叙情的な作風で知られるホラー漫画家だった。1999年に同社から刊行された単行本は、当時のホラー漫画ブームの一角を占めるに過ぎなかった。
しかし2026年、飛鳥新社から刊行された『私が見た未来 完全版』は、出版業界に大激震をもたらした。発売直後から爆発的な売れ行きを見せ、数十万部を超える大ヒットを記録。絶版となった90年代のサブカルチャー書籍が、装いを新たにしてベストセラーチャートの首位に躍り出た例は過去にほとんどない。この快挙は、旧来の流通経路に頼らない新しい本のアプローチとして今も語り継がれている。