「草薙の剣の写真や画像は存在するのか」という問いに対し、答えは明確に「存在しない」となります。天叢雲剣は最高度の秘宝であり、天皇や熱田神宮の宮司ですら直視することは許されていません。しかし、歴史の記録を紐解くと、禁忌を破って御神体を開帳し、その姿を目撃した人物たちの生々しい記録が残されています。
最も著名な文献が、江戸時代の神道学者・松岡正直が著した『玉匣記(ぎょくこうき)』です。貞享年間(1684〜1688年)、熱田神宮の社殿建て替え修理の際、複数の神職が幕府や神階の禁を犯して御神体の櫃(ひつ)を開けてしまいました。
記録に記された天叢雲剣の形状と外観的特徴は以下の通りです。
- 長さ:2尺7〜8寸(約80〜85cm)ほど
- 刃の形状:菖蒲の葉のような両刃造り。刃先へ向かって緩やかに広がる
- 厚みと特徴:中央部が魚の背骨(中峰)のように盛り上がり、全体的に極めて厚手
- 色と質感:青銅ではなく、白銀あるいは白銅のような眩い輝きを放ち、一切の錆がない
- 柄:8寸(約24cm)ほどで、魚の背骨の節のような凹凸があった
御神体は重厚な楠の木箱からさらに何重もの封印が施された箱に収められており、最後の箱を開けた瞬間、冷気が立ち込めて底知れぬ威圧感に包まれたと伝えられています。なお、このとき禁を破って剣を見た神職たちは、その後相次いで謎の高熱や重病に倒れ、命を落としたという恐ろしい後日談が記されています。