インターネット上の掲示板やSNSでは、「訪問着に変わり結びを合わせるのはマナー違反である」という極端な言説が散見されます。しかし、この解釈には現代のプロトコルとの間で誤解が生じています。
結論として、訪問着の変わり結び自体は現代の礼法上、全く問題ありません。ただし、以下の2つの明確な境界線を理解しておく必要があります。
- 未婚・既婚と立場の境界線:振袖のように帯の裏地を大きく見せたり、背中から高く飛び出すような「飛び羽根」は未婚女性の第一礼装向けです。訪問着では、帯枕をしっかりと背中に密着させ、お太鼓の山(トップライン)の水平を崩さないアレンジであることが求められます。
- 親族とゲストの境界線:結婚式において新郎新婦の母親や主たる親族として列席する場合、最も無難で敬意を示すのは伝統的な二重太鼓です。一方、友人や同僚、招待ゲストとしての列席であれば、扇太鼓などの上品な変わり結びは「祝意を華やかに表す装い」として非常に好意的に受け止められます。
また、使用する袋帯の織りにも注意が必要です。金糸・銀糸・箔が入った「錦織」「唐織」「佐賀錦」などのフォーマル用袋帯を選び、洒落袋帯(紬地など)での変わり結びは式典では避けるのが鉄則です。